続・出版

③流通の合理化・迅速化
 再三にわたる、公取委とのやりとりのなかで必ず問題になったのが、「欲しい書籍が書店にない」「書籍が手元に届くまでの時間がかかりすぎる」という読者の不満だった。そこで、下手をしたら1カ月以上配本までに時間がかかる現行の流通そのものを見直さなければならない。そのための試みとしてあげられるのが、複数の取次による共同倉庫の設立である。しかし、現段階では、取次間の力関係や、出版4団体(書協・雑協・日書連・取協)間の対立、大手出版社や大手書店の思惑などもあって、出版業界全体が一丸となって巨大な共同倉庫を作るまでにはいたっていない(が、その萌芽はある)。

④書誌の一元的な管理
 電子メディアの発達にともなって、統一フォーマットによる書誌の一元管理も問題になっている。現在は、版元・取次・書店で在庫の有無が違ったり、書誌の書き方自体がまちまちであったりするために、読者が電子データを利用しづらくデータを流通にいかしきれていない。そこで、インフラセンターがおこなおうとするような書誌の一元化は早急におこなわなくてはならないと考える。